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文部科学大臣宛要望書提出について 

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[ 文部科学大臣宛要望書提出 ]

写真中央=大臣官房 日向信和学習基盤審議官様と佐藤利弘会長  

髙橋利和副会長・大日方貞一副会長          鹿志村則男副会長・福本雄吉事務局長

令和7年文部科学大臣宛要望書提出 
                令和7年(2025年)7月11日 文部科学省

文部科学大臣 阿部 俊子 様

     

 

要   望   書

 日本連合教育会は、昭和24年(1949年)発足以来、常に中正不偏の立場を堅持しつつ、日本の教育の振興刷新を図ることを目指し、世界の平和と人類の福祉に貢献できる日本人を育成するため、12構成団体が志を一つにし、日々教育実践研究を続けております。       

 構成団体が一堂に会する研究大会は、コロナ禍でやむなく延期した令和2年度を除いて創設以来毎年開催し、今年は第76回となる茨城大会を迎えます。例年この研究大会では大会主題を掲げ、千余名の会員が教育実践を相携えてその実現の在り方を研究討議し、会員総意をもって大会宣言を採択しております。

 このような活動を通して、我が国の将来を担う子供に求められる資質・能力を育む多様な学びを保障するためには、教育に特化した恒久的財源を確保し、人的・物的措置等に関する教育諸条件の整備・充実にかかわる諸施策を講じる必要があると、強く考えております。

 つきましては、日本連合教育会研究大会及び12構成団体それぞれの研究会等における討議並びに各教育会会員の実践に基づく要望を集約いたしましたので、今後の文教政策に生かされますよう要望いたします。

  

 令和7年7月11日

 

               日本連合教育会会長    佐 藤 利 弘

                    

  茨城県教育会会長     鹿志村  則男         栃木県連合教育会会長    髙橋 利和

  東京都教育会会長     貝ノ瀨  滋    富山県教育会会長            金岡 克己

       信濃教育会会長       大日方 貞一          滋賀県教育会会長            中西 芳路

       呉市教育会会長       森   政雄             山口県教育会会長       倉増 誠彦

       徳島県教育会理事長  佐藤  利弘       香川県教育会会長             松平 賴昌

       愛媛県教育会理事長  藤原  雅彦          長崎県教育会理事長      小田 恒治

     

 [ 重点要望項目 ]

    新しい時代の教育の実現を目指す学校づくりを推進するためには、教育に特化した恒久的な財源を確保し、教育諸条件の改善を図ることが必要です。つきましては、次の観点から教育現場に対する支援をなお一層推進されますようお願いいたします。

 

一 学習指導要領の趣旨の実現に向けて、ICTを最大限活用し、「個別最適な学び」 と「協働的な学

    び」を一体的に持続的に実行可能にするためには、これまで以上にきめ細かな教育と支援が必要

    である。義務教育標準法等、教職員定数に関する法律を抜本的に見直し、全学年30人以下学級

  (特別支援学級は6人以下、特別支援学校小・中学部は4人)の実現を図られたい。

 

一 教員を目指す若者にとって、教員という職業が子供たちの未来につながるやりがいのある魅力あ

   ふれる職業として認識されるよう教員の働き方改革を早急に進め、勤務時間や給与等の大胆な待遇

   改善及び職務内容の適正化を図る施策をなお一層講じられたい。また、質の高い教員確保のため

   に、実施時期を含めた新たな実効性のある教員採用試験制度の構築を図られたい。

 

一 学習指導要領に示されている新しい時代にふさわしい質の高い教育の実現に当たっては、それを

   持続的に実行可能にするために学校の課題や特色に即した人的・物的環境の整備が必要であり、柔

   軟な対応が可能な施策を講じられたい。 

 

 [ 各要望項目 ]

1 社会に開かれた教育課程の実現に関して

(1)教職員の定数改善 

〇 児童生徒一人一人の健全な成長と豊かな学びを保障するため、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」を改正し、全学年30人以下学級(特別支援学級は6人以下、特別支援学校小・中学部は4人)の早期実現と加配定数の着実な拡充を図られたい。また、「公立高等校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」においても教育現場の実態に即したものとなるよう改正されたい。

○ 新しい時代にふさわしい質の高い教育の実現に向けて、安定的・計画的な教職員採用及び配置を図られたい。 

 

〇 教職員が大量に退職している現状に鑑み、教職員定数の計画的な改善のために次期教職員定数改善計画を早急に策定・実施を図られたい。

 

(2)教育課程                                 

○ 小中連携・小中一貫教育の推進に向け、教育課程の編成・実施や連絡調整に当たる教員を配置するなど、小中の連携・協働体制の整備・拡充を図られたい。

 

〇 カリキュラム・マネジメントを組織的かつ計画的に実施し、教育活動の質の向上につなげるために必要な教職員定数の拡充や地域学校協働活動推進員の配置を図られたい。

 

〇 新時代に対応した教育への取り組みを促進し、生徒一人一人に充実した教育を保障するため、高等学校等に学習指導環境改善加配や課外教育活動充実加配等の新たな加配措置を図られたい。

 

(3)学習指導 

〇 ICT機器を活用した授業の改善・充実とプログラミング教育の円滑な実施に向けて、その環境と指導体制等の更なる整備・充実を図られたい。

 

〇 STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進について、児童・生徒の発達段階に応じた学習活動の展開を促進するための指導体制の構築を図られたい。

 

〇 小学校外国語科の学習活動を充実させるために、専科教員の配置、研修制度の拡充を図られたい。

 

○ 小学校の教科担任制の拡大にあたっては、学習活動を充実させるために、加配定数を見直し、教員の増員を図られたい。

 

(4)道徳教育

〇 道徳の授業を一層充実させるため、「特別の教科 道徳」の趣旨を踏まえ、学校や地域の実態に即した創意ある指導ができるように、道徳教育推進教師の研修制度の充実を図られたい。

 

〇 道徳性を養う指導の充実のため、家庭・地域社会との連携・協力を推進しながら体験活動等の支援体制の整備・拡充を図られたい。

 

(5)キャリア教育

○  自らの夢や希望の実現を目指して、小学校から高等学校まで継続的な学習活動ができる指導体制の充実・強化に向けた更なる施策を講じられたい。

 

○ キャリア教育の充実に向けて、勤労生産・奉仕的活動や職場体験活動等のためのコーディネーター、コンサルタント等の外部指導員の配置と、地域社会の支援体制の拡充、指導資料の提供等、人的・物的環境の整備を促進されたい。

(6)環境教育

〇 SDGsの気運が高まる中、環境教育を一層推進するため、体験的な学習の充実が図れる施策等の拡充を講じられたい。

 

(7)安全教育・防災教育

〇 新型コロナウイルス等の感染症対応を踏まえ、安全・安心な教育環境を確保しつつ、すべての子供の学びを保障する学びの環境整備を行っていただきたい。

 

〇 地震や集中豪雨など想定を超える災害が頻繁に発生している現状を踏まえ、大規模災害に対応できる幅広い研修や指導資料の提供など、防災教育の充実・推進体制の整備を図られたい。

 

(8)主権者教育

○ 全校種にわたり主権者教育に積極的に取り組めるよう、指導支援体制の充実や指導資料の提供を図られたい。 

 

2 多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育に関して

(1)特別支援教育

〇 障害のある子供が、一人一人のニーズに応じた適切な教育・保育支援を受けられるよう、特別支援学級及び特別支援学校の整備・充実の促進とセンター機能の活用、医療及び関係諸機関との連携強化等、幼児期から将来を見据えた教育・保育体制の拡充を図られたい。

 

〇 特別な支援を必要とする子供の増加や障害の重複化・多様化等に対応するため、教職員定数の見直し及び専門職員(学校看護師、言語聴覚士、作業療法士等)の配置拡充を図られたい。

 

〇 インクルーシブ教育システムの構築に向け、特別支援教育コーディネーター及び学習を支援する教員の加配、心身の健康ケアに当たる養護教諭の複数配置等、通常学級における特別支援教育の更なる充実を図るための人的措置を講じられたい。

 

(2)人権教育

〇 子供の貧困や児童虐待、ネットによる誹謗中傷等の人権侵害に組織的に対応するため、警察や児童福祉施設等の関係諸機関との役割分担の明確化及び連携の強化、スクールソーシャルワーカー等の専門家を含む組織体制の整備・拡充等を通して、子供の人権保障や養育保障等の充実に向けた施策の促進を図られたい。

〇 いじめ防止対策推進法の趣旨にのっとった学校指導体制の確立及び地域ぐるみの取組や対策を一層推進し、そのための予算措置の拡充を図られたい。

〇 人権侵害の根絶を目指し、いじめやヘイトスピーチ等様々な差別的行為に対する

人権意識を高め、時と場に応じた適切な言動への関心を喚起し実践していく全国的な運動を展開する更なる方策を講じられたい。

 

(3)生徒指導

〇 教員が子供としっかり向き合い、より組織的・機能的な生徒指導を推進するため、専任の生徒指導担当教員の配置拡充や外部人材の活用等、人的条件の整備・拡充を図られたい。

 

〇 不登校及び不適応児童生徒やヤングケアラーの増加に対応すべく、関係機関との連携を深める施策を推進するとともに、オンラインによる在宅学習を含めた多様な学びの場が保障されるよう人的・物的支援の整備、充実を図られたい。

 

〇 「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプ ラン)」の更なる充実を図るとともに、校内教育支援センターや学びの多様化学校の設置促進、機能強化の施策を継続して実施されたい。

 

〇 学校のみでは対応が困難かつ深刻な問題等に適切に対応するため、スクールロイヤー、警察官、精神科医、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどのサポート等、チームによる学校支援システムの一層の整備・拡充を図られたい。

 

(4)幼児教育

〇 幼児期に育みたい資質・能力を育成する幼児教育の充実に向け、質向上総合プランの更なる拡充の施策を講じられたい。

 

〇 「幼・保・小の架け橋プログラム」の取組を全国に広げる施策を一層促進されたい。

 

(5)外国人児童・生徒対応

〇 日本語指導が必要な外国人児童生徒が適切な支援を受けられるよう、日本語指 導担当教員や日本語指導協力者等の更なる拡充を図られたい。

 

3 「次世代の学校・地域」創生の推進に関して

(1)チーム学校

○ 複雑化・多様化する学校の課題に適切に対応するために、校務分掌の見直しや人材の育成など、学校のマネジメント機能の強化を図り、校長のリーダーシップのもと「チーム学校」の指導体制を推進できるよう、専門職員の配置や加配定数の拡充等の人的支援策を講じられたい。

 

(2)地域社会とともにある学校

〇 子供の安全・安心の確保、家庭や地域社会の教育力向上のために、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の充実、学校運営協議会と地域学校協働本部の拡充をさらに図られたい。 

 

〇 地域コミュニティを活用した学校教育の充実を推進するために、地域学校協働活動推進員等の人的な環境整備を一層促進されたい。  

 

〇 全ての子供が放課後を安全・安心に過ごせるように、放課後、児童対策に従事する職員やコーディネートする人材の確保に一層取り組まれたい。また、放課後における児童の生活や学習活動を支援するべく多様な居場所づくりをさらに講じられたい。

 

○ 子育てに不安や戸惑いがある保護者への社会的支援体制の一層の整備を図られたい。

 

4 諸課題への対応に関して  

(1)学校における働き方改革    

〇 恒常化する教員の長時間勤務の解消と、困難な諸課題に対応できる体制づくりに向け、多様な専門スタッフを配置し、様々な業務を連携・分担して職務を担う体制の整備を図られたい。

 

〇 中学校及び高等学校等における部活動の持続可能で効果的な運営を図り、教員の負担軽減を実現するために、「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」に沿った指導運営体制を具現化するために、部活動指導員の充実等を一層図られたい。

 

〇 休日の部活動を含む教育活動については、子供及び教員に過度な負担がかからないようにするとともに、教員の勤務に関して適切な条件整備を図られたい。

 

(2)教員の確保 

〇 教員を目指す若者にとって、教員という職業が子供たちの未来につながるやりがいのある魅力あふれる職業として認識されるよう教員の働き方改革を早急に進め、勤務時間や給与等の大胆な待遇改善及び職務内容の適正化を図る施策をなお一層講じられたい。また、質の高い教員確保のために、実施時期を含めた新たな実効性のある教員採用試験制度の構築を図られたい。

 

〇 優れた人材が教職に就けるようにし、学生の教職への魅力を高めるため、教員として一定期間以上勤務した場合には、奨学金の免除・軽減する仕組みの構築を図られたい。

 

(3)災害時における学校への対応

〇 子供の安全・安心を確保するために、学校施設の耐震化や通信手段の確保、関係諸機関との連携の在り方等、学校における防災体制の整備促進を図られたい。

 

(4)教員研修

〇 すべての教員の資質・能力の向上を目指す研修の充実を図るとともに、教員が自己のキャリアステージに合わせて必要な研修を主体的に受講する新たな研修制度の構築を図られたい。

 

○ 増加する新規採用教員への研修内容について、精選と効率化等により、当人と学校の負担を極力抑えられたい。

 

(5)奨学金制度 

〇 保護者の経済的理由により、生徒が将来への夢や希望の実現を安易に断念することのないよう、給付型奨学金制度の整備・拡充を図られたい。

 

(6)全国学力・学習状況調査

○ 全国学力・学習状況調査の目的を明確にし、その上でその成果や課題を検証し、次期学習指導要領の改訂に生かすなど、今後の教育施策に反映されたい。

日本連合教育会

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