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文部科学大臣宛要望書提出について 

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[ 文部科学大臣宛要望書提出 ]

写真1=水田功戦略官と有賀康修会長  

写真2=津野田誠一副会長・佐藤利弘副会長・水田功戦略官・有賀康修会長・武田育夫副会長・福本雄吉事務局長代理

令和4年文部科学大臣宛要望書提出 
                令和4年(2022年)7月15日 文部科学省

文部科学大臣 末松 信介 様

 

 

要   望   書

 

 日本連合教育会は、昭和24年(1949年)発足以来、常に中正不偏の立場を堅持しつつ、日本の教育の振興刷新を図ることを目指し、世界の平和と人類の福祉に貢献できる日本人を育成するため、14構成団体が志を一つにし、日々教育実践研究を続けております。 

 構成団体が一堂に会する研究大会は、コロナ禍でやむなく延期とした一昨年を除いて創設以来毎年開催し、今年は第73回となる東京大会を迎えます。例年この研究大会では大会主題を掲げ、千余名の会員が教育実践を相携えてその実現の在り方を研究討議し、会員総意をもって大会宣言を採択しております。

 このような活動を通して、我が国の将来を担う子供に求められる資質・能力を育む多様な学びを保障するためには、教育に特化した恒久的財源を確保し、人的・物的措置等に関する教育諸条件の整備・充実にかかわる諸施策を講じる必要があると、強く考えております。

 つきましては、日本連合教育会研究大会及び14構成団体それぞれの研究会等における討議並びに各教育会会員の実践に基づく要望を集約いたしましたので、今後の文教政策に生かされますよう要望いたします。

  

 令和4年7月15日

  

                 日本連合教育会会長      有賀康修

   

                     東京都教育会会長               有賀   康修

                     信濃教育会会長             武田    育夫

                     栃木県連合教育会会長          津野田 誠一

                     茨城県教育会会長                  鹿志村    則男                        

                     富山県教育会会長                     金岡     克己                                                                                     滋賀県教育会会長                      中西     芳路

                     徳島県教育会理事長            佐藤     利弘

                     堺市教育会会長              辻本    修一

                     呉市教育会会長                 森     政雄

                     長崎県教育会理事長                  小田    恒治

                     山口県教育会会長                      倉増    誠彦

                     香川県教育会会長                      松平    賴昌

                        愛媛県教育会理事長               藤原   雅彦

                     愛知県春日井授業研究会会長   川畑   一臣

 [ 重点要望項目 ]

 新しい時代の教育や地方創生の実現を目指す「次世代の学校・地域」創生プランに基づく学校づくりのためには、教育に特化した恒久財源を確保し、教育諸条件の改善を図る必要がある。

 ついては、次の観点から教育現場に対する支援を継続して推進されたい。

 

1 義務教育標準法等教職員定数に関する法律を改正し、全学年30人以下学級の実現を図られた

    い。

2 教員採用試験の受験者を増やし、優秀な教員を確保するためにも教員の働き方改革を進め、大

    胆な待遇改善を図って教職の魅力を高めるとともに、民間企業の採用試験及び内定時期に鑑み、

    新たな教員採用試験制度の構築を図られたい。

3 新学習指導要領の実施に伴う新しい施策の導入に当たっては、それらを持続的に実行可能にす

   るための人的・物的環境の整備を図られたい。

4 各学校が創意工夫を凝らした特色ある学校づくりを進めるために、校長の人事に対する具申を

    最大限に生かすこと、また校長の裁量で執行できる予算の確保・増額を図ることの施策を講じら

    れたい。

 

 [ 各要望項目 ]

1 社会に開かれた教育課程の実現に関して

(1)教職員の定数改善  

〇 児童生徒一人一人の健全な成長と十全な学びを保障するため、「公立義務教育諸学校の学級編

    制及び教職員定数の標準に関する法律」を改正し、全学年30人以下学級の早期実現と加配定数の 

    着実な拡充を図られたい。また、「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法

    律」においても教育現場の実態に即したものとなるよう改正されたい。

○ 新学習指導要領における教科の新設、授業時数の増加等への対応及び「主体的・対話的で深い  

 学び」の実現に向けて、安定的・計画的な教職員採用及び配置を図られたい。 

〇 教職員が大量に退職している現状に鑑み、教職員定数の計画的な改善のために次期教職員定数

 改善計画を早急に策定・実施を図られたい。

 

(2)教育課程                                 

○ 小中連携・小中一貫教育の推進に向けた教育課程の編成・実施や連絡調整に当たる教員を配置

 するなど、小中の連携・協働体制の整備・拡充を図られたい。

〇 カリキュラム・マネジメントの適切な実施に必要な教員定数の拡充や地域学校協働活動推進員

 の配置を図られたい。               

〇 普通高校・専門高校等に、学習指導環境改善加配や課外教育活動充実加配等の新たな加配措置

 をされたい。

 

(3)学習指導 

〇 ICT機器を活用した授業の改善・充実とプログラミング教育の円滑な導入・実施に向けて、

 その環境と指導体制等の更なる整備・充実を図られたい。

〇 小学校外国語科の学習活動を充実させるために、専科教員の配置、研修制度の拡充を図られた

 い。

○ 小学校の教科担任制の導入にあたっては、学習活動を充実させるために、加配定数を見直し、

 教員の増員を図られたい。

 

(4)道徳教育

〇 道徳の授業を一層充実させるため、「特別の教科 道徳」の趣旨を踏まえ、学校や地域の実態

 に即した創意ある指導ができるように、道徳教育推進教師の研修制度の充実を図られたい。

○ 家庭や地域社会と連携・協力して、道徳性を養う指導の充実のため、体験活動等の支援体制の

 整備・拡充を図られたい。

 

(5)キャリア教育

○ 自らの夢や希望の実現を目指して、小学校から高校まで継続的な学習活動ができる指導体制の

 充実・強化に向けた更なる施策を講じられたい。

○ キャリア教育の充実に向けて、勤労生産・奉仕的活動や職場体験活動等のためのコーディネー

 ター、コンサルタント等の外部指導員の配置と、地域社会の支援体制の拡充、指導資料の提供等

 人的・物的環境の整備を促進されたい。

 

(6)環境教育

〇 環境教育を一層推進するため、体験的な学習の充実が図れる施策等の拡充を講じられたい。

 

(7)安全教育・防災教育

〇 新型コロナウイルスの感染症対応を踏まえ、安全・安心な教育環境を確保しつつ、すべての子

 供の学びを保障する新しい時代の学びの環境整備を行うとともに、コロナの影響による不登校児

 童生徒に向けた対策の強化を図られたい。

〇 想定を超える災害が頻繁に発生している現状を踏まえ、大規模災害に対応できる幅広い研修や

 指導資料の提供など、防災教育の充実・推進体制の整備を図られたい。

 

(8)主権者教育

○ 主権者教育に積極的に取り組めるよう、指導支援体制の充実や指導資料の提供を図られたい。 

 

2 多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育に関して

(1)特別支援教育

〇 障害のある子供が、一人一人のニーズに応じた適切な教育・保育支援を受けられるよう、特別

 支援学級及び特別支援学校の整備・充実の促進とセンター機能の活用、医療及び関係諸機関との

 連携強化等、幼児期から将来を見据えた教育・保育体制の拡充を図られたい。

〇 特別な支援を必要とする子供の増加や障害の重複化・多様化等に対応するため、教職員定数の

 見直し及び専門職員(学校看護師、言語聴覚士、作業療法士等)の配置拡充を図られたい。 

〇 インクルーシブ教育システムの構築に向け、特別支援教育コーディネーター及び学習を支援す

 る教員の加配、心身の健康ケアに当たる養護教諭の複数配置等、通常学級における特別支援教育

 の更なる充実を図るための人的措置を講じられたい。

 

(2)人権教育

〇 子供の貧困や児童虐待、ネットによる誹謗中傷等の人権侵害、ヤングケアラーに組織的に対応

 するため、警察や児童福祉施設等の関係諸機関の役割分担の明確化及び連携の強化、スクールソ

 ーシャルワーカー等の専門家を含む組織体制の整備・拡充等を通して、子供の人権保障や養育保

 障等の充実に向けた施策の促進を図られたい。

〇 いじめ防止対策推進法の趣旨にのっとった、学校の指導体制の確立及び地域ぐるみの取組や対

 策を、一層推進するための予算措置の継続・拡充を図られたい。

〇 人権侵害の根絶を目指し、いじめやヘイトスピーチ等様々な差別的行為に対する人権意識を高

 め、時と場に応じた適切な言動への関心を喚起し実践していく全国的な運動を展開する更なる方

 策を講じられたい。 

 

(3)生徒指導

〇 教員が子供としっかり向き合い、より組織的・機能的な生徒指導を推進するため、専任の生徒

 指導担当教員の配置拡充や外部人材の活用等、人的条件の整備・拡充を図られたい。

○ 不登校及び不適応児童生徒がオンラインによる在宅学習を含めた多様な学びを保障されるよう

 人的・物的支援の整備、充実を図られたい。          

〇 学校のみでは対応が困難かつ深刻な問題等に適切に対応するため、スクールロイヤー、警察官

 精神科医、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどのサポート等、チームによ

 る学校支援システムの一層の整備・拡充を図られたい。

 

(4)幼児教育

〇 幼児教育実践の質向上総合プランの更なる拡充の施策を講じられたい。

 

(5)外国籍児童・生徒対応

〇 日本語指導が必要な外国籍児童生徒が適切な支援を受けられるよう、日本語指 導担当教員や

 日本語指導協力者等の更なる拡充を図られたい。

 

3 「次世代の学校・地域」創生の推進に関して

(1)特色ある教育・学校づくり

〇 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育・学校づくりを進めるために、校長の人事に対する具

 申を最大限に生かすこと、また校長の裁量で執行できる予算の確保・増額を図ることの施策を講

 じられたい。

 

(2)チーム学校

○ 複雑化・多様化する学校の課題に適切に対応するために、校務分掌の見直しや人材の育成など

 学校のマネジメント機能の強化を図り、校長のリーダーシップのもと「チーム学校」の指導体制

 を推進できるよう、専門職員の配置や加配定数の拡充等の人的支援策を講じられたい。

 

(3)地域社会とともにある学校

〇 子供の安全・安心の確保、家庭や地域社会の教育力向上のために、事業の充実、地域学校協働

 本部及びコミュニティ・スクールの拡充など、地域コミュニティを活用した学校教育の充実を図

 るための地域コーディネーター等の人的な環境整備を一層促進されたい。

〇 地域の自然や人材、施設等の教育資源を活用した「放課後こども総合プラン」の充実等、放課

 後における子供の多様な生活や学習活動を支援する体制の一層の整備・拡充を図られたい。

○ 子育てに不安や戸惑いがある保護者への社会的支援体制の一層の整備を図られたい。

 

4 諸課題への対応に関して  

(1)学校における働き方改革    

〇 恒常化する教員の長時間勤務の解消と、困難な諸課題に対応できる体制づくりに向け、多様な

 専門スタッフを配置し、様々な業務を連携・分担して職務を担う体制の整備を図られたい。

○ 中学校及び高校における部活動の持続可能で効果的な運営を図り、教員の負担軽減を実現する

 ために、総合的なガイドラインに沿った指導運営体制を具現化するための部活動指導員の充実等

 を図られたい。

〇 休日の教育活動については、子供及び教員に過度な負担がかからないようにするとともに、教

 員の勤務に関して、適切な条件整備が図られるよう、各自治体及び関係諸機関に周知されたい。    

○  若者にとって、教員という職業が、やりがいのある魅力あふれる職業として認識されるよう、

 勤務時間や給与等の待遇改善及び職務内容の適正化を図る施策を講じられたい。

〇 教員採用試験の受験者を増やし、優秀な教員を確保するためにも教員の働き方改革を進め、大

 胆な待遇改善を図って教職の魅力を高めるとともに、民間企業の採用試験及び内定時期に鑑み、

 新たな教員採用試験制度の構築を図られたい。

 

(2)災害時における学校への対応

〇 子供の安全・安心を確保するために、学校施設の耐震化や通信手段の確保、関係諸機関との連

 携の在り方等、学校における防災体制の整備促進を図られたい。

 

(3)教員研修

〇 現行の教員免許更新制度が発展解消されることに伴い、教員が自己のキャリアステージに合わ

 せて必要な研修を主体的に受講する新たな研修制度の構築を図られたい。

○ 増加する新規採用教員への研修内容について、精選と効率化等により、当人と学校の負担を極

 力抑えられたい。

 

(4)奨学金制度 

○ 保護者の経済的理由により、生徒が将来への夢や希望の実現を安易に断念することのないよう

 給付型奨学金制度等の奨学金制度の整備・拡充を図られたい。

 

(5)全国学力・学習状況調査

○ 全国学力・学習状況調査の成果や課題を検証し、今後の在り方について検討を図られたい。

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